【齋藤明由】請求QUICKを税理士が実際に使ってみて実力を評価!電子帳簿保存法の改正にもしっかり対応してくれます!

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初めまして、いなほ会計代表税理士の齋藤明由と申します。 実際の税理士としての立場から請求QUICKを使用してみましたので、本日はそのレビューを行いたいと思います。

結論から言いますと、電子帳簿保存法の改正に対応するためにはぴったりのツールだと言えます。

電子帳簿保存法がどういった法律なのか、なぜ請求QUICKがおすすめできるのかを併せて説明していきます。

そもそも電子帳簿保存法とは??

電子帳簿保存法(以下、電帳法)とは、税務上で保存が必要な帳簿書類を電子的に保存するためのルール等を定めた法律で、これ自体は平成10年から存在しております。

ところが、とても・とても大きな改正が行われ、2022年1月からこの改正後の電帳法が既に始まっているのです。

電子帳簿保存法改正の衝撃!!

なんと、2022年1月1日からは、電子取引に関する請求書・領収書等をすべてデータで保存しなければならないというルールになりました。

具体的には、Amazon等で購入した物品の領収書について、これまではAmazonから出力した領収書データを印刷したものを紙ベースで保存しておりましたが、税務上今後は紙ベースでの保存がNGとなり、一定のルールに従った方法(1)での電子保存が義務付けられました。

2年間の猶予期間と今後の対応方針

ところがこの電帳法の施行直前になって、2年間の猶予期間が設けられました 。(2)

正直な所、税理士の立場としても、準備期間が数カ月しかない中で上記の電帳法に対応することはなかなかハードであり、顧問先の皆さんにどう説明すればよいかと、とても困っておりました。

この2年間の猶予期間は、「インボイス制度」への対応と合わせて経理業務をデジタル化するにはちょうどいい準備期間が出来たとほっとしております。

続いて、インボイス制度とはどういったものなのかを解説していきます。

インボイス制度とは??

インボイス制度(3)を平たく言うと、請求書に「登録番号」等(4)を記載しないと、その分の消費税が控除(仕入税額控除)できなくなってしまう制度です。

ここで、インボイス制度を考えるには、売手側と買手側のそれぞれの立場で考える必要があります。

売手側

売手は、買手である取引相手から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません。

ただし、売手が登録事業者(5)ではない場合、取引相手に対してインボイスを発行することが出来ません。

買手側

買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)から交付を受けたインボイス(6)の保存等が必要となります。

ここで、取引相手が登録事業者ではない場合、取引相手(売手)からインボイスを発行してもらえないことから、買手はこの取引に係る仕入税額控除が出来ないこととなり、結果的に買手の消費税支出が増える結果となります。

インボイス制度の影響

インボイス制度が開始されると、請求書に登録番号があるか否かがとても大きな意味を持ちます。

そして、請求書に登録番号を記載するには、消費税課税事業者が前提となることから、今後は消費税免税事業者からの請求書については消費税が控除できなくなってしまいます。

すると、これまで消費税免税事業者であった小規模事業者やフリーランス・個人事業者は、このタイミングで消費税課税選択をするか否かの判断を行う必要がありそうです。

電帳法強制適用とインボイス制度への対応方法

2023年10月にインボイス制度の開始、2024年1月に電帳法強制適用開始、とほぼ同じタイミングで大きな改正がやってくるので、請求書はこれまでの様式では使えなくなり、膨大な電子化作業も必要となるので、例えばエクセル・スプレッドシート等で請求書を作成しているような事業者には大きな負担となるでしょう。

このタイミングでシステム化を行うなど、経理業務を見直すちょうどよい機会になっているかもしれません。 次に電子帳簿保存法・インボイス制度を見据えた請求書発行システムをご紹介していきます。

エクセル請求書の限界がやってきた?

当事務所では、顧問料の請求書作成につき、エクセル請求書にて管理・運用を行ってきました。

これまではエクセルの管理でもなんとかできてきましたが、やはりミスが起きやすいと感じます。

例えば、日付のミス、消費税や源泉徴収税の端数処理のミス、会社名のミス、請求書番号のミス、振込み期日のミス、そもそもの請求金額のミスなどなど・・・・。

今度はこれに加えて、インボイス登録番号を記載して、エクセルをPDF化したうえでファイル名をルール化して・・想像しただけでミスの発生が目に見えています。

電帳法、インボイス制度の今後の方向性

電帳法は突然のようにその施行が決まり、その効果や方法についての議論はまだまだ十分とは言えず、今後も方針転換や法改正もあるものと思われます。

さらに、インボイス制度についてはそもそもEUの付加価値税(VAT)におけるインボイス制度を参考にして制度設計が行われ、このEUのインボイス制度自体も試行錯誤の上に様々な改革が行われている(7)ところを見ると、我が国のインボイス制度もこれで完成とはならず、今後も近い将来において方針転換や法改正が行われる可能性は高いものと考えられます。

今後の方向性に備えた対策

これらの将来の法改正に自力で対応しようとすると、制度改定が行われるたびに現場は四苦八苦して対応することになり、現場に大きな負担をかけ、混乱を招く可能性が高いものと思われます。

例えば、消費税が5%から8%になり、その数年後に10%に引き上げられましたが、この法改正は弥生会計や勘定奉行などのベンダーがすべてバージョンアップにより対応してくれ、スムーズに対応することが出来ましたが、これらを自ら試行錯誤して対応しようとしたならばどんなに苦労したかということは容易に想像できます。

それならば、請求書発行システムについても同様で、制度改正への即時対応などがしっかりとした信頼できる会社のシステムに頼るのが一番安心と考えます。

当事務所も、上述の通りでこれまでエクセル請求書で何とか凌いできましたが、この機会にSBIグループが開発した「請求QUICK」を導入してみました。

請求QUICKは、基本無料で利用でき、さらに無料のセミナー等もあるので、経理の方の知識と業務フローのアップデートがしやすいと感じました。 続いて、実際の使用感をレビューしてみようと思います。

請求QUICKを使ってみた印象

請求書発行システムの初心者ユーザーとして、まずは最初に使用して感じたことを述べてみます。

請求書番号 自動付番してくれる So Good!
取引先名 登録しておいてプルダウンで選べる Good!
請求日と支払期限 小さいカレンダーから選べる Good!
取引金額 値引き等をマイナス入力できる  Good!
会社ロゴ 画像データで入れられる Good&Good!
印影 入れられる Good!
承認経路 設定すると上司の承認などを追加できる Very Good!
発行方法 Pdf付きメール送信、リンク付きメール、 郵送代行などいろいろ選べる Excellent!! 

やはり、エクセル請求書と比べるととても簡単にミスなく請求書を作成して発行までできる印象でした。

これで請求書月50枚まで無料で使えるというのはスゴイの一言です。有難く利用させていただきます。

経理サイドの視点から

税理士開業前は約9年経理業務を行っておりましたので、今度は経理の立場でも述べたいと思います。

請求書の作成・発行は上記の通りでとても使いやすいシステムですが、さらにこれ以外にも入金消込と会計ソフトへの仕訳連携も無料で使用できるようです。

しかも入金消込は該当の請求書の消込みだけではなく、それ以外の受取利息などの入金もまとめて消込が出来る機能がついており、これも無料で使える。

入金消込は単純作業ですが、量が膨大になるととても時間がかかり退屈な作業であり、これを自動でできてしまうのはとても魅力的です。

料金を見ても、請求書月50枚まで無料というのが信じられないくらい太っ腹ですが、50枚を超えた場合に超えた分の1枚につき30円という価格設定もとても良心的でうれしい価格設定と感じました。

無料の請求書発行システムとしては最強クラス

当事務所では、スタートアップの事業者様を会社設立段階からご支援する(創業支援)ケースが多く、その際に多くの質問を頂くことが日常です。

例えば、資本金をいくらにするか?とか、初年度の役員報酬はどうするか?とか、決算月はいつにするべきか?とか、消費税課税事業者の選択はどうするか?などの質問と一緒に、請求書の発行はどうすればよいか?についてもとても多く質問を受ける点でありました。

スタートアップではどうしても管理業務への予算が割けない(コストをかけられない)ことから、請求書発行にはお金をかけない方法を第一にご提案してきました。

エクセル請求書もその一つでした。

無料で使える請求書発行システムもお勧めしたことがあるのですが、そのほとんどが無料部分はちょっとだけしか使えなくて、結局課金しないと使い物にならないものがほとんどという印象でした。

この度、請求QUICKを実際に使用してみて、その考え方は変わりました。完全無料で月50枚までの請求書を発行でき、YOUTUBEなどの無料サービスにありがちな煩わしい広告も出てこずに、十分に無料で完結できる請求書発行システムです。

今からエクセル請求書に戻ることは難しくなってしまいました。

税理士側にもメリット大!

スタートアップの事業者にはピッタリの請求書発行システムであることは上述しましたが、これは顧問税理士側にとってもとても便利で有難いシステムであると感じました。  

顧問先が請求書発行システムを使用していれば、請求書の入力ミスは大幅に削減するし、紙ベースの請求書で受渡ししていると抜け・漏れ・ダブリなどが生じることがありますが、請求QUICKを使って請求書のやり取りができるので、これをなくすことが出来ます。

コロナ禍を受けて、近年の給付金や補助金の申請に当たり、月次ベースの売上計上の正確性がとても重要(8)になってきており、請求書発行システムを利用していれば月次の売上管理が安心かつ確実になります。

また、請求額が変更になって請求書を差替えた場合などは、紙ベースの請求書を見ただけではどちらが正しい請求書かわからずに顧問先に問い合わせなければなりませんでしたが、この苦労はなくなります。

しかも、無料機能の範囲で入金消込機能がついていて、設定さえすれば自動で入金消込が完了でき、これまで手入力でチマチマやっていた消込みの作業も不要になります。

BtoCの事業者など、入金件数が多い顧問先の記帳にはとても助かります。

結び

ユーザーの立場として、また税理士の立場として、制度説明からスタートして請求QUICKを使ってみた感想を綴ってまいりました。

率直な感想を4点にまとめて述べますと、

①電帳法及びインボイス制度の施行により、今のタイミングでの請求書発行システムの導入はとても有効である。

②請求QUICKは、SBIグループ会社が開発したシステムで、電帳法及びインボイス制度及びその今後の改正にも完全対応しており将来的にも安心感がある。

③無料で月50通まで請求書が発行でき、十分に無料で完結できる。

④請求QUICKを導入すると、税理士にとってもミス減少と工数削減にとても効果がある。

以上、このコラムを読んで請求書発行システムに興味を持たれた方は、請求QUICKをお試しになることをお勧めいたします。コラムにお付合い頂き、ありがとうございました。

注釈

(1)①電子帳簿等保存、②スキャナ保存、③電子取引データ保存の3種類の方法のうちいずれかの方法に従って保存する必要があります。

(2)「令和5年12 月31 日までに行う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えありません(事前申請等は不要)」出典:国税庁 PDF「電子帳簿保存法が改正されました」より

(3)2023年10月からスタートします。

(4)現在義務付けられている「区分記載請求書」に「登録番号」「適用税率」「消費税等の額」を追加する必要があります。

(5)適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、インボイス登録を行った事業者を指す。

(6)この他、買手は自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。国税庁ホームページ インボイス制度の概要より

(7)沼田博幸「消費課税におけるインボイスの役割について-EU/VATにおけるインボイス制度の改革を参考として-」(会計論叢第5号 2010年)

(8)補助金や給付金の申請に当たり、1年前や2年前の同月の売上と比較して要件を満たした(30%超減少など)場合に申請できるケースが多く、これまで以上に月次の売上高の正確性が求められるところであります。

平成 26 年税理士開業。主にスタートアップやベンチャー企業に対して、税務、会計、創業融資支援、経営判断のサポート等を行っております。スタートアップの経営者は常に孤独です。経営者に寄り添い、いつでも気軽に相談できる街の税理士を目指しております。現在のペットは、荒川で捕獲したクロベンケイガニのくろろ。水草が大好物。